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ドキュメンタリーに感化され転職したMR社畜の斎藤君(28歳)

私は父が営業職をしていたこともあり、その辛さや厳しさはそれなりに理解しているつもりです。

医療業界における営業職となるMRの仕事は、私の周囲では何人かが高待遇ということで大学卒業後に製薬会社に入社して働いていますが、やはり厳しい世界みたいです。大学の頃の友人斎藤君(当時28歳)もまた、MRの厳しい環境に嫌気がさして転職した一人です。彼の事例をご紹介しましょう。

数字に強かったS君

斎藤君は学生の頃から数字にとりわけ強く、私はてっきり彼は銀行員とか証券会社に向いているのではないかと思っていました。

しかしそんな彼が就職したのは製薬会社。MRとして資格を取得して頑張っていました。

MRという仕事は薬品の効能についての情報提供を行うと同時に治療成績の情報収集を行う作業もしていて、数字に強かった斎藤君は収集したデータを持ち帰って分析したりすることが大好きだったようです。しかし、営業にはかなり厳しいものが多く、成績が全く残せない、医療従事者から嫌がられていることを知りながらも営業しなければいけない辛さなどが蓄積し行ったそうです。

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私はS君が転職する前に話をしたことがあり、その時には「自分はプライベートな楽しみはほとんどなく、会社のためだけに人生をささげる社畜みたいだ」と嘆いていました。

彼の仕事はほとんどが外回りで、成績を残さないと職場にはとても帰りづらかったようです。そのため、精神的に上司からの叱責を受けられないような時には喫茶店で時間をつぶしたり、あてもなく営業ルートをさ迷い歩くことも多かったようです。

同じ年に入社したMR職の同期は半数以上が退職してしまったこともまた、斎藤君の精神的な部分に大きく影響していたのかもしれませんね。

転職のキッカケはドキュメンタリー

そんな斎藤君が職場を辞めたいと考えるキッカケになったのは、偶然見たドキュメンタリー番組だったそうです。

その番組は、働き蜂となった人生の「質」に疑問を持ったサラリーマンが家族とともに田舎へ引越し、そこで人間に大切なものを見出すといった内容だったそうですが、仕事に疲れていた社畜状態の斎藤君はかなり共感し、それが辞めたいと思うキッカケになったそうです。

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普段から疲労困憊して精神的にも体力的にも疲れ切っていた彼だからこそ、余計にそうしたものに強い憧れを抱いたのかもしれません。

自分らしく生きることができる仕事は何か、自分が楽しく働ける仕事は何かを模索し、転職サイトにも登録して探した結果、彼が見つけたのはドラッグストアの開発企画というお仕事でした。

ちなみに斎藤君、学生の頃は居酒屋でアルバイトをしていた経験があり、接客はかなり得意だったようですし、他人と話をすることが大好きだったようなので、面接の時には世間話に花が咲いたと言っていました。

製薬会社のMRをしていたということで市販薬についても素人よりは知識があるだろうと見込まれ、面接後はすんなり採用が決まったそうです。収入は少しマイナスになったようですが、斎藤君は営業職から脱出できてとても喜んでいました。

新しい職場でやりがいを見つける

転職後に斎藤君と顔を合わせた時、彼の表情がとても明るくなっていて、疲労困憊していた彼はどこにもいませんでした。それがまず私が感じた印象です。

職場を変えるだけで人はこんなに変わるものなのだということを斎藤君を見ていて理解できましたし、彼は新しい職場でクリエイティブな仕事に携わりながらもビジネスや数字と関わることができる点がとてもやりがいを感じると言っていました。

辞めたいと思っている社会人は多ですが、社畜になっても辞めるキッカケがつかめなかったり、不安が大きくてなかなか行動に移せない人って珍しくないです。しかし、なにかのキッカケで前に進むことができれば、一度しかない人生、新しい世界が広がっているのかもしれませんよね。

斎藤君が勤めていた以前の職場では、今でも社畜となってしまった同僚たちが働き続けているそうです。その中には、精神的なストレスが原因で身体を壊してしまったり、病気になってしまう人もいたりするようですし、成績を残すために手段を選ばないような人もいるのだとか。

職場を変えた今、彼はそうした昔の生活を振り返って「自分は精神的に追い詰められる前に転職出来たことがとても幸せだと感じる。もしあの時テレビを見ていなかったら、きっと今でも社畜だっただろうし、遅かれ早かれストレス性の疾患にかかっていたかもしれない」と話してくれました。

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