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不眠症ITエンジニア社畜(29歳)の例

私の高校時代からの友人山本君(当時29歳)が会社を辞めて転職した時の話をご紹介します。

もともと山本君はIT系の仕事がとても得意で、高校の頃からプログラムをしていたほどで、私もずっと彼のことを「将来は有能プログラマになるに違いない」と思っていたほどです。そんな彼が就職先に選んだのは割と名の知れたIT系の企業で、山本君はSEとして働いていたそうです。入社2年目の時にかなり忙しい部署に配属され、残業はいつも終電までという生活が続いたそうです。たまに彼を飲みに誘っても「ごめん、今日も仕事だから」と返信がきたので、彼の多忙さをとても良く理解しているつもりです。

責任感が強いことが裏目に

山本君はもともと責任感がとても強く、子供の頃からみんなをまとめるリーダー的な存在でした。私なんかは無理だなとすぐにあきらめてしまうようなことでも、Y君は夜遅くまでリサーチしたり、できる方法を考え出したりして、他人のために尽くすことを最大の喜びとするような人でした。

しかし社会人になってからは、そんな彼の性格が裏目に出てしまったようで、職場からはあれもこれもと大量の仕事を押し付けられ、疲れたから帰りたいなと思っても帰れないような状態が続いたみたいです。残業時間は月に150時間を超えるのが普通だったみたいですし、よく徹夜ということもあったようで、そんな生活に慣れて普通だと思ってしまう自分が怖いと言っていたこともありました。

ちなみに、その職場では社員の離職率がかなり高く、山本君の職場でも先輩や後輩、そして同僚が次々と辞めていきました。山本君も何回か辞めたいと思ったことはあったようですが、そのたびに上司から「頼むよ、君が頼りなんだ」と言われ、ほかの人の分まで自分が頑張らなければ、と気負いすぎてしまったのかもしれません。周囲から見ると社畜そのものですし、当時はSEは残業が多くて大変という噂は社会人なら誰もが知っていたほど。でも当人の山本君は、辞めたいと思っても辞められる状況ではないと思っていたのです。

当然、会社と自宅の往復ですし、休みはほとんどなかったようですから、恋愛ができる環境ではなく、学生時代の友人が次々に結婚していく中、もしかしたら焦りの気持ちもあったのかもしれません。そんな精神的なプレッシャーを感じながらの生活は大変です。

ストレス性の不眠症に

そんな社畜状態の山本君、一日の大半を職場で過ごし、自宅には寝るためだけに帰宅するという日々が続き、どんな時でも仕事のことばかりを考えるようになりました。

決して、楽しくてワクワクするから仕事のことを考えるというわけではなく、納期がいつまでだから明日はちょっと遅くまで頑張るか、とかこのプログラムはここを改善して、というような追い詰められたような気持ちがずっと続いたようです。その結果、夜眠れなくなり、布団の中で時計ばかりを見つけてため息をつく状態になってしまいました。不眠症社畜の誕生でした。

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青い空と緑が転職のきっかけに

そんな彼が転職を考えたきっかけは、実は友人など周囲の人のアドバイスではなく、帰宅途中にめまいを感じてふと座った公園のベンチから見た青い空と緑、そして子供たちの笑い声だったと言います。マジで漫画に出てくる哀愁漂うサラリーマンみたいですが、本当だそうです。

その日が何曜日かも覚えていなった山本君は、そこで「こんな生活を続けていては人生の意味が分からなくなってしまう」と転職を決心しました。もともと優秀でリーダーシップが取れる彼だったので、転職活動はそれほどハードではなく、とんとん拍子で決まったそうです。

彼の転職先は、自宅から自転車通勤することも可能な不動産屋で、地域密着型の企業で多くの人と毎日コミュニケーションを取るお仕事です。つい先日、山本君と顔を合わせる機会があったのですが、社畜SEだった当時よりも顔色が明らかに良くなり、表情もとても明るくなっていたので驚きました。SEをしていた頃はいつも疲れていたようですし、夜は眠れずに毎日がしんどいと言っていたものですから、その変化は私にとってもとても嬉しかったですね。

SEの給料は一般営業などと比べると割と高めで、山本君もそうだったみたいです。だから転職したことでお給料は下がったようですが、仕事の後に飲みに行ける楽しさを始めて知ることができたようですし、仕事とプライベートをどちらも楽しめるということを覚えたと言っていました。転職の理由は人それぞれですが、ストレスまみれの社畜で会社を辞めたいと思っている人なら、転職して人生を見直してみることも一つの方法だと思いますね。

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