私の友人、飯田さん（仮称・当時33歳）は、製薬会社でMRとして働いたのち、まったく異業種へ転職をし、結果的に失敗だったと後悔した経験があります。事例をご紹介しましょう。
転職の経緯(現在の仕事内容と転職理由)
飯田さんが現在働いているのは、アパレル系メーカーの企画開発部という所です。どんな仕事をしているかというと、私もはっきり詳しい所までは知らないのですが、メーカーの新作を発表する際の企画や広報など、何やら華やかな感じの仕事をしているようです。
飯田さんはその仕事をする前には製薬会社でMRをしていたので、アパレルメーカーとは全く異なる業種への転職ということになりますが、私は飯田さんがMRの頃から知っているので、仕事を辞めてアパレルメーカーに行くと聞いた時にはとても驚きました。
飯田さんが仕事を変えた理由は、精神的なストレスが強くなってしまったためです。
彼が勤めていた企業は、テレビCMなどでもおなじみの大規模な製薬会社で、多くのMRが少しでも成績を残すべく社内での激しい競争が繰り広げられていたそうです。私はMRという仕事は、製薬会社からの伝書鳩的な存在で、医療機関との橋渡しをすることだと思っていたのですが、飯田さんが担当していたのは開発段階にある治験薬で、こうした薬はどんな副作用が出るか未定のため、医療機関は敬遠することが多く、なかなか治験に協力してくれる所を見つけるのが難しいのだそうです。
そんな中、なかなか成績を上げることができなかった飯田さんは、製薬会社の仕事は自分には向いていないのではないかと落ち込むようになり、やがて医師からうつ病になりかけているという診断をもらってしまいました。
「このままではいけない」と自分の体調および心の健康に危機感を感じた飯田さんは、仕事を辞める決意をしました。しかし、養う家族がいますから、ただ辞めてのんびり休養というわけにはいかず、仕事探しをすることにしたそうです。
マイナビ・リクルートエージェントを利用して失敗
飯田さんが最初に活用した転職エージェントはマイナビでした。
マイナビは利用者満足度が3年連続でナンバーワンという実績を持つ優良なエージェントです。多くの人が活用して満足しているマイナビでは、担当者のカウンセリングスキルの高さにも定評があり、同業種はもちろん、異業種への転職にも対応しているのですが、取り扱っているお仕事は全て薬剤師の資格を持っている人のための求人のみなので、もう医療機関では働きたくないと思っていた飯田さんにとっては、そこで紹介してもらえる求人の中から選ぶことは難しかったようです。
彼が次に登録したのはリクルートエージェントです。
このエージェントは知名度ナンバーワンなので、仕事探しをした経験がある人なら知らない人はいないと思うのですが、リクルートエージェントも担当者のカウンセリング力はとても高く、飯田さんを担当してくれた男性担当者は、「全く関係ない業界ですが未経験者でもOKなので、受けてみますか？」といくつか異業種の求人を紹介してくれました。
その中から飯田さんが選んだのが現在の仕事です。飯田さん自身、ファッションにはそれなりに興味がありましたし、MRの営業ということで、時事や世間のトレンドなどにも、それなりに精通していたという自負がありました。だから、できると感じたのだと思います。
どんな所が失敗だったか？
しかし、ファッションが好きなことと、ブランドの裏側で企画や広報を担当することは、同じアパレルブランドでも全く次元が異なります。
飯田さんは、前職とは異なる仕事をしたいという気持ちで新しい職場を選んだわけですが、未経験者でもOKとなってはいたものの、専門的な知識やスキルがない飯田さんにとっては、精神的なストレスは初日から大きかったようですね。
飯田さんが失敗した点は、全く右も左も分からない未知の分野へリサーチもせずに転職を決めてしまったという点だと思います。
ある程度親しみがある業界ならまだしも、ノウハウを知らない業種ということで、飯田さんは文字通り「未経験者」として入社したわけです。周囲はアパレル業界で経験豊富な人材が多いようで、飯田さんは毎日研究と勉強の日々を費やしています。
転職失敗を繰り返さないためのアドバイス
飯田さんのような失敗を繰り返さないためには、どんな業種の仕事をする時でも、具体的にどんな仕事をするのかという点は、しっかり調べるべきだと思います。
ファッションが好きだからアパレル業界で通用するだろう、というのでは甘すぎますね。
飯田さんの場合、結果的に現在の職場に決めるという結果になったとしても、事前にいろいろリサーチをして、どんな職務が待っているのかを理解した上で仕事を選んでいれば、精神的なストレスは今ほど大きくはならなかったと思います。しかし、何も予習しないで働き始めたわけですから、何もかも知らないことばかりでツラくなってしまうのは仕方ないのかもしれません。
現在、飯田さんは与えられた環境の中でベストを尽くそうと前向きに努力しているので、このまま頑張っていただきたいですね。
